会計トップページ
このページは、totの会計に関する全てのルールと情報を集約する場所です。 活動資金の流れを明確にすることで、メンバー全員の信頼を得るとともに、将来の活動を円滑に進めるための土台を築きます。 過去の反省を活かし、より良い会計システムを模索・記録していくことで、サークルの持続的な発展を目指します。
会計の基本方針:透明性と信頼性のために
権力とは、財布を握っていることだ。
この言葉が示すように、お金の管理には大きな責任が伴います。だからこそ、totの会計は最大限の透明性を確保することを基本方針とします。
会計担当の役割は、単に経費を記録すること(簿記)だけではありません。その記録を誰もがアクセスできる状態にし、いつでも検証可能な形で公開すること、つまり**説明責任(Accountability)**を果たすことにあります。
透明性と情報公開に裏付けられた検証可能性が担保されて初めて、その記録は信頼されるのです。
会計情報の公開範囲について
この会計情報はWikiで公開しているため、totの内部メンバーだけでなく、外部の方も閲覧できる状態になっています。これは私たちの透明性へのコミットメントを示すものです。
また、将来的にサークル名義の銀行口座を開設する際など、金融機関へ過去の活動実態を示すための公式な資料としても活用することを想定しています。
そもそも「会計」と「簿記」の違い
-
簿記 (Bookkeeping) 日々の取引をルールに従って**記録する「技術」**です。
-
会計 (Accounting) 簿記の記録をもとに、財務状況を利害関係者(この場合はtotのメンバー全員)に**報告し、説明する「活動」**です。
単式簿記と複式簿記の比較
| 項目 | 単式簿記 | 複式簿記 |
|---|---|---|
| 概要 | 「お小遣い帳」のように、お金の増減のみを記録する。 | 一つの取引を「原因」と「結果」の2側面から記録する。 |
| メリット | ・構造が単純で、知識がなくてもつけやすい ・手間がかからない | ・お金の動きの「理由」まで記録できる ・記録の正確性を検証しやすい ・財産と損益の状況を両方把握できる |
| デメリット | ・記録ミスが起きても気づきにくい ・財産全体の状況が把握しづらい | ・簿記の知識が必要 ・帳簿付けが複雑で手間がかかる |
| 適した用途 | 家計、個人の収支管理、小規模なサークル活動 | 企業、NPO法人、確定申告が必要な事業 |
totでは、現状の活動規模を考慮し、シンプルで管理しやすい「単式簿記」を採用しています。
複式簿記の重要性
複式簿記は「お金が動いた“理由”まで残す言語」。 記録を言語化すると、検証・説明・意思決定が強くなる。
ざっくり歴史メモ
- 13〜14世紀:イタリアの商業都市(ジェノヴァ/ヴェネツィア等)で二面記録の実務が普及。
- 1494年:ルカ・パチョーリが複式簿記を体系化。近代の会社制度・監査の土台に。
- 組織や共同体は、信頼できる会計記録を持つことで資金調達・統治・引き継ぎが安定する。
複式簿記を学ぶメリット
複式簿記は、単なるお小遣い帳とは異なり、ビジネスや社会の仕組みを理解するための「共通言語」とも言えます。
1.就職活動で強力な武器になる 🧑💻
企業の活動はすべてお金の動きに集約されます。複式簿記を理解していると、企業の財務諸表(決算書)*を読み解き、その会社の経営状態を自分自身で分析できるようになります。これは、経理や財務職だけでなく、営業や企画、開発など*あらゆる職種で役立つスキルです。面接で「当社の経営についてどう思いますか?」と聞かれた際に、具体的な数字を元に話せる学生は、他の就活生と大きく差をつけることができます。
2. 将来の選択肢が広がる 📈
もし将来、フリーランスや個人事業主として活動することになった場合、青色申告を行うことで大きな節税メリットを受けることができます。そして、その青色申告で最大65万円の特別控除を受けるための必須条件が、「複式簿記で帳簿をつけること」なのです。この知識があるかないかで、手元に残るお金が大きく変わってきます。
白色申告と青色申告の違い
確定申告には大きく分けて2種類の方法があり、受けられる特典が全く異なります。
| 項目 | 白色申告 | 青色申告 |
|---|---|---|
| 記帳方法 | 単式簿記(簡易な記帳) | 原則、複式簿記 |
| 特別控除額 | なし | 最大65万円 |
| 赤字の繰越 | できない | 最大3年間繰り越し可能 |
| 事前申請 | 不要 | 必要 |
| 提出書類 | 収支内訳書 | 損益計算書(P/L)・貸借対照表(B/S) |
| メリット | とにかく簡単で手間がかからない | 節税効果が非常に高い |
| デメリット | 税制上のメリットがほぼない | 簿記の知識が必要で、手間がかかる |
- P/L(損益計算書):期間のもうけの結果。収入 − 費用 = 利益。
- B/S(貸借対照表):ある時点の財産目録。資産 = 負債 + 純資産。
なぜ社会で「当たり前」なのか?
企業会計で複式簿記が「当たり前」なのは、それがお金の流れの透明性を担保し、不正を防ぐための最も優れた仕組みだからです。すべての取引が「原因」と「結果」のセットで記録されるため、ごまかしが非常に難しくなります。
この透明性の原則は非常に重要で、一部では「もし政治資金の管理に複式簿記が義務付けられていれば、昨今問題になっているような裏金問題は発生しにくかったのではないか」という議論さえあります。お金の入りと使い道を明確に記録し、説明責任を果たすという点で、複式簿記は社会の信頼を支えるインフラなのです。
totの会計システムと採用理由
なぜ検証用に「Moneytree」を併用するのか?
公式な帳簿は「ちまたの会計」で作成しますが、これは手入力のため、入力ミスや不正を100%防ぐことはできません。そこで、客観的な証拠として、実際の銀行口座の動きを資産管理アプリ「Moneytree」で監視し、定期的に帳簿と突合することで記録の正確性を担保しています。
-
Moneytreeを採用する理由
- 個人的な信頼: まず、提案者である私が普段から愛用しており、その使いやすさと信頼性を高く評価しているためです。
- プライバシーへの配慮: 無料版でも広告が表示されず、利用者のプライバシーを尊重する姿勢が明確です。
- セキュリティ: 金融機関との連携を前提としたサービスであり、セキュリティ評価が高いことも選定理由です。
-
なぜ「マネーフォワード」ではないのか? 同様のサービスで最も有名なのは「マネーフォワード ME」ですが、無料版では広告表示が多く、連携したデータの閲覧期間に制限があります。広告がなく、よりシンプルな形でデータ検証に集中できるMoneytreeの方が、サークルの運用に適していると判断しました。
今後の運用体制の比較検討
| 運用体制 | メリット | デメリット | コスト |
|---|---|---|---|
| 過去:スプレッドシート のみ | ・導入が最も手軽 | ・属人化しやすい ・ミスや不正の温床になりやすい ・セキュリティ面に不安 | 無料 |
| 現状:ちまたの会計 のみ | ・無料で使える ・運用がシンプル | ・入力ミスや不正を検知しにくい ・リアルタイム性に欠ける | 無料 |
| 案1:ちまたの会計 + Moneytree(無料版) | ・口座データとの突合で信頼性が向上 ・無料で導入できる | ・無料版は連携口座数に限りがある ・運用が少し複雑になる | 無料 |
| 案2:ちまたの会計 + Moneytree(有料版) | ・領収書をデータで管理でき、信頼性が大きく向上 ・複数口座の連携やデータ出力が容易 | ・月額費用が発生する ・運用が複雑になる | 有料 |
| 参考:freee など | ・複式簿記に対応した本格的な会計が可能 ・請求書発行など機能が豊富 | ・サークルにはオーバースペック ・高コスト | 有料 |
結論と今後の展望
現状の最適解
現在のtotの財務状況を考慮すると、**「案1:ちまたの会計 + Moneytree(無料版)」**が最もバランスの取れた体制であると判断しました。
将来の会計担当者へ
この体制が永続的に最善であるとは考えていません。技術は進化し、より良いツールやサービスが登場する可能性があります。将来の会計担当者は、常に「もっと良い方法はないか?」と模索し、改善を続けてほしいと願っています。
- 注目情報:freeeの活用 最近、芝浦工業大学が会計ソフトの「freee」と提携したという情報があります。これにより、将来的には学生が無料でfreeeを利用できる可能性も考えられます。この情報は継続的にチェックする価値があるでしょう。
次のステップ
サークルの財政に余裕が出てきたら、「案2:Moneytree有料版」への移行を検討すべきです。有料版では領収書の写真を撮ってデータとして保存できるため、紙の領収書を管理する手間が省け、紛失リスクもなくなります。現状の無料体制では**「領収書データが散逸してしまう懸念」**が残っていることは、申し送っておきます。
参考文献
今回はじめて会計を担当したので、短期間で理解を深めるために読んだ本をまとめておきます。まずはマンガ/物語系で雰囲気を掴み、用語と流れに慣れてから背景や制度へ、の順がおすすめ。
入門
- 『女騎士、経理になる』 一言メモ:世界観でサクサク読める導入編。会計の役割を“物語”で理解したい人に。
- 『剣と魔法の税金対策』 一言メモ:税の考え方をやさしく。費用・収益の感覚づくりに。
- 『マンガでやさしくわかる簿記入門』 一言メモ:仕訳/勘定科目の全体像をコミックで。はじめの一冊に最適。
- 『ハローキティのかんたん簿記超入門』 一言メモ:図解たっぷりで初心者フレンドリー。単語帳感覚で復習できる。
背景(歴史・思想を知る)
- ジェイコブ・ソール『帳簿の世界史』 一言メモ:会計が統治・信用・発展に与えた影響を俯瞰。なぜ「記録」が社会を強くするのかを掴む。