インタビュー当日前の事前準備チェックリスト
当日を“話を聞くこと”だけに集中させるため、前日までに迷いをゼロにする。
段取りは「連絡 → 役割 → 台本 → 機材 → 権利 → ファイル → 当日動線」の順で固める。
1. 連絡・確定事項(7〜3日前)
相手に共有する確定情報
- 日時(開始・終了/所要目安)、場所(建物・部屋・入構手続き)、集合目印
- 目的(誰向けの記事か/公開範囲/掲載媒体)
- 当日の体制(聞き手・書き手・撮影の人数と名前)
- 記録方法(録音/写真撮影の可否、公開前の内容確認の可否)
- 依頼事項(掲示物や作品の撮影許可、必要であれば部屋の確保 など)
- 緊急連絡先(携帯)と前日リマインドの予告
テンプレ(事前連絡)
件名:〔取材の最終確認〕○月○日 tot編集部(所要○分)
本文:日時/場所/目的/体制/記録方法(録音・撮影)/公開前確認の有無/緊急連絡先
※問題があればこのメールへご返信ください。
2. 役割分担(RACI)
| 役割 | 主担当(Responsible) | 補佐 | 決定(Approve) | 相談(Consult) |
|---|---|---|---|---|
| 進行・時間管理 | 進行役 | タイムキーパー | 企画責任 | 取材先代表 |
| 質問・深掘り | 聞き手 | 書き手 | 企画責任 | 進行役 |
| 記録(録音・要点メモ) | 書き手 | 予備記録 | 企画責任 | 聞き手 |
| 撮影(静止画) | 撮影 | サブ撮影 | 企画責任 | 取材先 |
| 権利・同意 | 進行役 | 編集長 | 企画責任 | 取材先 |
最小構成:聞き手+記録+撮影の3名。2名しかいなければ「聞き手兼進行/記録兼撮影」で運用。
3. 台本と質問設計(3〜2日前)
台本の骨子(5ブロック)
- アイスブレイク(1–2分):部の近況・今日の流れ共有
- 目的確認(1分):読者像/記事ゴール(何を持ち帰ってほしいか)
- 本編(20–30分):章立て質問(例:活動の目的→運営→企画→課題→未来)
- エピソード深掘り:具体・数字・相手・制約・意思決定
- クロージング(同意・確認事項・写真撮影へ)
質問の作り方
- オープン質問で始め、具体化→数字→相手視点→意思決定へ深掘り
- 例)「活動の目的は?」→「いつから/誰と/どれくらいの頻度?」→「達成度の物差しは?」→「その判断は何を優先した結果?」
- NG:誘導質問、詰問、個人攻撃。未成年・個人情報・健康・政治等は配慮。
4. 機材・持ち物(2〜1日前)
録音:ICレコーダー or スマホ+外部マイク(Lightning/USB-C)
撮影:スマホ or カメラ、予備バッテリー、SDカード
備品:A4クリップボード、ペン×2、養生テープ、名札、許諾メモ
予備:延長コード、三脚、モバイルバッテリー、ウェットティッシュ
服装:清潔感/静音(ジャラつくアクセ厳禁)
当日動作確認(前日)
- 録音レベル・無音時ノイズ・リミッターON
- カメラの解像度/ストレージ残量
- ボイス録音のバックアップ系(IC+スマホの二重)
5. 権利・同意(前日)
- 録音・撮影・掲載の可否を事前に文面で合意(メールで可)
- 名前・肩書・掲載NG範囲(顔出し不可、作品のみ等)
- 公開前の内容確認の有無/範囲(事実関係のみ、全文校閲など)
- 学内の掲示物や個人情報が写り込む場合はぼかし前提で案内
当日は口頭でも再確認:「本日は録音します。掲載前に事実関係の確認をお願いします。」
6. 手土産(任意):選び方・渡し方・経費処理
基本方針
- 目的は感謝の可視化と関係づくり。贈賄や便宜供与の意図が疑われない少額の消え物が基本。
- 事前に大学・団体の規程(謝礼・贈答の受領可否)を確認。NGならお礼状のみに切替。
金額目安(学生団体向け)
- 個人・小規模取材:500〜1,000円ほど
- 複数名/長時間対応:1,000〜2,000円(個包装の菓子詰め合わせが無難)
おすすめ(アレルギー配慮)
- 個包装クッキー/フィナンシェ/カステラ切り分け(原材料にナッツ・卵・乳表記ありのもの)
- のど飴・ティーバッグ詰め合わせ(カフェインレスも混ぜると親切)
- 非食品代替:付箋・ボールペン等の文具セット(食品制限が読めないとき)
NG例
- 金券・商品券・現金、高額品、手作り食品、アルコール類、冷蔵必須品、強い匂いのもの(部室に残るため)
買い方・持ち運び
- 個数:代表者用1+共有用(10〜20個)
- 表示:原材料・賞味期限・個包装の有無を確認
- 保管:溶け・割れ対策(ハード箱/夏は保冷材)/小さめトートでシワ防止
渡すタイミングと一言
- 開始時(アイスブレイク狙い)または終了時(お礼を強調)。どちらかに統一。
- スクリプト例:
「本日はご協力ありがとうございます。皆さんで召し上がれるものを少しだけお持ちしました。もし受領に関するルールがあれば遠慮なくおっしゃってください。」
お礼カード(名刺サイズ)テンプレ
表:tot編集部
裏:
本日は取材へのご協力ありがとうございました。
公開予定:○月下旬/確認連絡:○日頃
連絡先:xxx@tot-ch.com
受け取り辞退のとき
- 「規程上お受け取りできません」と言われたら即引き下がり、「では後ほど御礼メールにて公開スケジュールをご共有します」と切替。
経費処理(会計用メモ)
- 科目:謝礼費 または 企画費(取材お礼品)
- 保存:レシート必須(ネット購入は領収書PDF)。購入日・取材案件名・配布先を台帳に記録。
- スキャン保存先:
/interview/YYYY-MM-DD_案件名/01_brief/receipt/
7. データ管理・命名規則(前日セット)
フォルダ構成(Nextcloud/Drive)
/interview/ 2025-09-14_SFA_〇〇大学_軽音サークル/ 01_brief/(事前連絡・同意・台本) 02_raw/(audio, photo) 03_transcript/ 04_select/(採用カット) 05_draft/
命名規則
- 録音:
20250914_SFA_keion_main_rec01.m4a - 写真:
20250914_SFA_keion_sceneA_001.jpg - 文字起こし:
20250914_SFA_keion_transcript_v1.md
バックアップ
- 収録直後にクラウドへ即アップ+撮影者端末にも残す(二重化)
8. 当日の動線(当日朝に最終確認)
- 集合:開始15分前現地(雨天ルート/入構手続き)
- 席配置:L字 or 斜め向かい(マイクは話者の胸元 20–30cm)
- 導入スクリプト(進行役)
- 自己紹介 → 目的 → 所要時間 → 録音確認 → 途中で水分OK → オフ可の合図
- 時間配分:本編 70%、写真 20%、次回連絡 10%
9. トラブル時の代替策
- 相手が遅延:5分待機→電話→再設定案をその場で3候補
- 録音トラブル:ICが死んだらスマホ予備録音に即切替(机中央)
- 騒音:部屋替え交渉 or ドア閉鎖/窓閉め/空調風量ダウン
- 撮影NG:手元資料・背面ボケの匿名カットに切替
10. クイックチェック(印刷推奨)
- 連絡最終確認メールを送った(緊急連絡先含む)
- 役割分担を合意した(進行/聞き手/記録/撮影)
- 台本と質問を共有した(深掘りポイントにマーカー)
- 権利・同意の可否を文面で確認済み
- 機材フル充電・録音テスト・ストレージ空き確保
- フォルダ作成・命名規則テンプレ配置済み
- 現地動線・入構手続き・雨天ルートOK
- 代替案(録音・場所・日程)の準備あり
付録:終了後のフォロー(当日中)
- お礼メール+公開スケジュール共有/内容確認の方法
- 収録データを当日中にアップ、聞き手は要点サマリを
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